中国の医療事情、病院事情を知るのにうってつけの番組がありましたのでご紹介します。

《人间世》というドキュメンタリー番組です。

上海市内の病院を舞台に、救急や臓器移植、がんとの闘病といった日本でも話題に上ることの多いテーマを扱った骨太の社会派ドキュメンタリーです。

この《人间世》というのは『莊子』の一篇から取ったものらしく、「人間の社会」という意味があります。中国語では“人间”は世間、世の中、という意味なのです。

一人でも多くの命を救うため、過酷な勤務条件のもとで働く医師、病と闘う患者、それを支える家族など、医療をめぐる人間模様が、そのタイトルのとおりに生々しく展開していきます。

当たり前のことですが、社会事情は大きく違っても、日本人も中国人も同じように健康に生きられることを願っています。医療者は人を助けたいという志をいだき、患者の家族は家族の容態を心配し、ときに大切な人を失って哀しみに暮れるのです。

死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされたとき、人が見せる表情に胸を打たれました。

 

ドキュメンタリー番組は、外国語の学習教材としても優れています。

シャドーイングの教材としてドラマや映画などを利用している人はたくさんいるでしょう。しかし、ドラマや映画に出てくるセリフは脚本家が考えに考えて、推敲を重ねて作り上げたものであるということは意識しておかなければなりません。実際に生きる人が口にするかといえば、必ずしもそうとは限りません。(私たちだって、普段「罠だったのか!」とか「そうはさせないぞ!」とか「あなたのことを愛しているんだからっ!」なんて言いませんよね?)

その点、ドキュメンタリーに登場するのは俳優でもタレントでもない、市井の人々ですから(多少の演出やカメラを前にした緊張などはあるでしょうが)、彼らは自分自身のうちから出てきた言葉を話してくれます。

必ずしも気の利いた言葉ではないかもしれませんが、心のうちから自然に湧き出た言葉は、不思議と聴く者の胸にとどまり続けます。

《人间世》《中国纪录片网》というドキュメンタリー番組を集めたサイトで鑑賞することができます。本当の病院の様子を見ることができ、当然ながら医療用語も飛び交いますので、医療通訳を志す方にとっては内容的にも言葉の面でもうってつけの教材となることでしょう。

これだけではなく、《中国纪录片网》ではさまざまなジャンルの番組がネットで見られますので、ご自身の関心に合うような番組を探してみてはいかがでしょうか。

中国纪录片网 http://www.docuchina.cn/