先日、《上海外语口译证书考试》(上海外国語通訳試験)という試験を受けまして、無事に合格しておりました。


受験に国籍の要件はありませんが、基本的に中国人向けの試験です。現地に居住する日本人も受験することがあるようですが、わたしのようにわざわざ出かけていって受験する物好きは少ないかと思われます。

受験を検討している方、あるいはこの記事を読んで受験を考えるという人がいるかもしれませんので、備忘録としてここに試験の概要を記します。

試験は2018年秋に実施されたものについて書いておりますので、試験の実施方法や出題などには変更があり得ることをあらかじめお含みおきください。

 

今回わたしが受験したのは“日语高级口译”(日本語高等通訳)というカテゴリです。

申込みはすべてネットで日本から行えます。

“高级”を受験しようというくらいの方なら、試験の概要や申し込み方法などは当然自分で調べられるでしょうから、ここでは割愛し、公式サイトなどでは語られていない実際の試験の様子についてご紹介いたします。

英語や日本語の中級筆記試験であれば上海をはじめとして全国各地で受験することができますが、日本語の通訳試験は上海外国語大学で受験することになります。

 

 

集合時間は朝8時と比較的早いので、前泊する必要があります。

わたしは今回は上海外国語大学の最寄駅のひとつ、“虹口足球场”(虹口サッカースタジアム)の近くに宿をとりました。試験会場から徒歩十分ほど。食堂や構内のちょっとしたカフェが朝から空いていますので、そこで待ちました。

 

会場の建物に入ると、教室のひとつに案内されます。

入口でパスポートを提示し、携帯電話などの通信機器の電源を切って封筒に入れられ、厳重に封をされます。

これは試験終了まで開封することはできません。待っている間にスマートフォンなどを使って学習することができなくなるので、注意しましょう。

広めの教室で好きな場所を探して座り、開始を待ちます。

開始時間になると、10人ずつ名前が呼ばれ、教室前方の椅子に座ります。

当日になって初めて知ったのですが、試験は10人ずつ、別々の部屋に割り振られて実施されます。自分が何番目の組になるのかは名前を呼ばれるまでわかりません。

後の方になってしまうと待ち時間が長引きますので、書籍やノートなどの勉強道具を持参しておくことをおすすめします。わたしはたまたま『口を鍛える中国語作文(上級編)』を持参していたので、これをボソボソと読んで過ごしておりました。

10人が着席したところで別の部屋に案内され、そこで一人ずつ並んで座ります。普通の学校の教室です。

 

さて、別室に案内されてすぐに試験が行われるわけではなく、はじめは10人全員が1つの教室に通されます。

ここは「試験準備室」とでもいうべきところで(中国語で何と呼んでいたか忘れました)、一人に一枚ずつ、A3〜B4サイズのプリントが配られます。

左右にそれぞれ日本語の文章と中国語の文章が書かれており、10分間程度の時間が与えられます(もっと短かったかも)。制限時間内にその文章を読み、後でそれぞれ中国語/日本語に訳せるよう、準備をします。

文章はだいたい1500字〜2000字くらいの長さで、新聞や雑誌のコラムのような時事的な文章でした。

今回は、日本語の方は日本社会におけるタトゥーに対する見方、中国語の方はインターネットと教育の融合というテーマの文章でした。

メッシやネイマールといった人名が出てきて、スポーツにそれほど明るくないわたしはけっこう焦りました。メッシは“梅西”だと知ってましたが、ネイマールは知らなかったので“内马尔”と訳してみました。あとで確かめたら合っていたので安心しました。

時間が来ると紙は回収され、試験準備室から出ます。

廊下を移動し、割り振られた番号ごとに1番から10番までの教室の前で待機し、前の受験生が退出してくるのを待ちます。

 

そして、いよいよ試験開始。

教室に入ると、面接官が2人いました。机が2台向かい合わせに並べられ、試験官と向かい合う形になっています。銀行の窓口くらいの距離感。かなり近いので、試験官の手元にある採点表が丸見えです。

レコーダーが置いてあって、試験官がスイッチを入れると試験開始となります。身分証(外国人のわたしはパスポート)を見せ、名前を言います。

試験に関する指示は、置いてあるプレーヤーから流れてきます。最初と最後の挨拶を除き、試験官と直接やりとりをする機会はありません。

最初に、先ほど準備室で見せられた日本語、中国語の文章が再び渡され、それをサイトトランスレーション(视译)していきます。事前に原稿を見て頭の中でシミュレーションしていたので、大きく崩れることなく訳すことができました。

その後は、日本語と中国語の文章がそれぞれ5本ずつ流され、それを訳していきます。長さは各1分程度、メモはできます。

わたしは普段の練習不足がたたって、日本語→中国語の出来はなんだかイマイチだったのですが、中国語→日本語の方で得点をかせぐことができました。なにせ試験官との距離がすごく近いので、1つ回答するごとに点数が丸見えです。

(あ、そんなに低いの!?)とか、(お、まあまあくれるのね)とか、雑念が入りまくりますので、あまり見ないようにする方がいいかもしれません。とは言っても、気になってしまうのでどうしても見てしまいます。こういうのは日本だと衝立を置いたりして受験者に見えないようにするのでしょうが、ここでは見えているのもあまり気にしていない模様です。

試験は30分程度で終わりました。

終了後、教室から出ると、また別室に通され、試験についてわかりにくかったところや疑問などを書くアンケートへの協力を求められました。

全体的には、中国語検定一級の二次試験よりも分量が多く、難易度も高いかなという印象です。(中検一級も10年くらい前のことなので記憶が薄れておりますが)

 

試験対策

試験問題は、政治、経済、教育、医療など、あらゆる分野から出されます。別にナメていたわけではないのですが、わたしは今回これといった試験対策はせず、普段どおりの勉強をしていただけで臨みました。直前に『口を鍛える中国語(上級編)』を暗唱したくらいです。

当然、辞書などを参照することはできませんので、語彙を頭のなかにストックしておくことは必須です。普段からさまざまな中国語に触れ、アンテナを張っておきましょう。

時事的な問題もありますので、いま中国や日本で何が話題になっているかをチェックしておくことも必要です。

「この教材をしておいたらOK」というものはなくて、あらゆる方法で勉強を重ねておくべき試験です。勉強の仕方としては中国語検定一級の対策の延長上にあると考えてもいいでしょう。

文章の精読・多読、短文の暗唱を軸に行うことをおすすめします。

サイト・トランスレーションは短時間で大量の文章を処理しなければなりませんので、中国語の文章をかなりの高速で読み解く力が必要です。メモを取ったり読み返したりする時間はないと思っておいたほうがいいでしょう。

普段から中国語と日本語で読書をし、シャドーイングや音読で瞬発力を鍛える、王道の勉強を積み重ねることが結局は最短距離になるはずです。

簡単ですが以上でレポートは終わりです。参考になれば幸いです。