「音」を本格的に学びはじめる

実は、音に縁深い人生だった

わたしは、中国語の発音を教えたり、文学作品を朗読してみたり、そして鍼灸師の仕事では声や音の問題(難聴や耳鳴り、めまいといった耳鼻咽喉科の症状)を抱えた方を多く診ています。趣味として、ギターの演奏もします。

よくよく考えてみると、てんでバラバラのことをやっているように見えて、自分は「音」に関することに携わっているようです。

別に、音にとりわけ敏感なわけでも、音楽的センスがあるわけでもないのですが(絶望的にギターが上手くならない)、なぜかそういう風になってしまっている。なんでだろう?

では、「音」とは一体何なのか? 

喉や耳の解剖生理学のことについてはある程度知っていますし、大学で音声学(いわゆる調音音声学)を学んだので、人間が発声器官を使って出す言語音についてもある程度は知っている。

でも、物理的に「音」というのがどういう現象であるのか、ということについて本格的に学んだことはほとんどありません。

「音に携わりまくっているくせに、そんなことでいいのかな?」という謎の焦燥感と、「将来こんなことがしてみたい」という漠然とした夢のようなものもありますので、この機会に音について学びなおしてみたいと思うようになりました。

じゃあ、どうやって学べばいいのだろう? と思って、いろいろと検索してみました。

いきなり「音響工学」とか調べたりして、「大学に入りなおすのはちょっとなぁ〜」と、無駄に頭を抱えていました。

東大の大学院の講義をオンライン聴講

あれこれ調べているうちに、東京大学の峯松信明先生のサイトに行き着き、そこで東大の大学院で行われている授業が公開されていることを知りました。

この時代、勉強しようと思えばいくらでも自分で勉強してしまえるのですね。

自己紹介のページを拝見すると、この方は理工系の研究科で音響・音声について研究されているそうなのですが、学生時代は英語劇をされていたそうです。

これを読んで、学生時代に中国語劇にハマっていた自分は大いに親近感を抱いたのでした。峯松先生は言語教育分野での研究も多くなさっているようで、わたしが関心をもつ分野に見事にハマっています。

というわけで、しばらくは峯松先生のサイトで独学してみることにして、紹介されている教科書や参考書をあれこれ買い集めているところです。

す、数学が要るんか…

と、意気込んでみたところでさっそく三角関数とか対数が出てきて、泡を食っています。

自分の来し方にあまり大きな後悔はありませんが、数学をまじめに勉強してこなかったことだけは大変悔やんでいます。数学の試験でふざけた答案を書いて職員室に呼び出され、思い切り怒られたこともあって、今思いだすと赤面の至りです。しっかりと今になってツケを払わされているわけです。

というわけで、10代の頃の己の愚かさを呪いながら、しぶしぶ中高生向けのYouTube動画など見ながら勉強をしなおしているところです。

面倒だな、と思いつつも、自分の学問を深めることなしに受講生の皆さんに質の高いレッスンを行うことはできませんので、世のため人のためだと思って、黙々と、粛々と、取り組んでいこうというところなのでした。

↓『独学大全』に励まされながら学習しています。電子書籍もありますが、紙版が断然おすすめ。