同意 と 赞成 はどう違う?

同意 と 贊成 どちらもOKな場合

何らかのアイデアや行為を支持するという態度を示すときに、“同意”と“贊成”が使えます。これは、日本語でも入れ替え可能な使い方です。

同意 / 贊成 你的意見。
あなたの意見に賛成 / 同意します。

他的建议很不错,我完全 同意 / 赞成
彼の提案は素晴らしい、わたしは完全に同意 / 賛成 だ。

同意 しか使えない場合

話し手が要求に応じる場合

話し手が相手からの要求などに応じるという場合には“同意”を用います。このとき、“赞成”を使うことはできません。

公司决定让我负责这个项目,我同意了。
会社は私にこのプロジェクトを担当させることを決定し、私はそれに同意した。

この例文で、「私」はプロジェクトの担当を命じられ、承諾しています。このときに使うのは“同意”です。

この用法についても、中国語の“同意”と日本語の「同意」は同じように使えることがわかります。上の例文で、「私はそれに賛成した」だと、何か他人事のような印象を与えます。

許可、承認する場合

また、“同意”には「許可、承認」という意味もあります。これも、“赞成”は使えません。

学生们必需征得家长的同意,才能参加这次活动。
生徒たちは保護者の同意がなければ今回のイベントに参加できません。

この文についてはどうでしょうか? 日本語で「保護者の賛成がなければ」と言えるでしょうか? 言えるような気もしますが、「同意」の方が自然ではないでしょうか。

同意 は 赞成 の意味範囲をほぼカバーする

こうして見てみると、“赞成”は、ほぼ“同意”に置き換え可能だということがわかります。

多数人对这项决议投了赞成票。
多くの人がこの決議に賛成票を投じた。

このような文では“赞成票”を*“同意票”と言い換えることはできません。ただ、これは“赞成票”という語彙の問題であるとも言えそうなので、“赞成”と“同意”の語の違い、とは言い切れないような気もします。

翻訳するときの注意

注意が必要なのは中国語を日本語にするときです。“赞成” 、“同意”のような日中同形・同義語は、字形をそのまま簡体字から日本漢字に変えて、機械的に“赞成”→「賛成」、“同意”→「同意」としてしまいがちです。

中国語で“同意”と言われて/書かれていても、日本語では「賛成」と言う方が自然である場合もあります。

翻訳作品などを原文と比べながら見ていると、プロはそのあたりをきっちり読みこなして訳しています。

また、「反対」という意味で“反对”ではなく、“不”を使って“同意”(“赞成”)を否定する、というやり方も珍しくありません。

点头表示同意,摇头表示不同意,也不是各个民族都这样。

首を縦に振ると同意で、横に振ると反対、というのはすべての民族でそうなるわけではない。

ここで“不同意”を「同意しない」と訳すのはちょっと冗長すぎるでしょう。「反対」の方がスッキリします。

「同形同義語ほど注意して処理する」ということを意識しておくべきでしょう。

参考文献

相原茂 主編『中国語類義語辞典』朝日出版社,2015.

施光亨 王绍新 主编《汉语教育学词典》商务印书馆,2014.

赵新 李英 主编《学汉语近义词词典》商务印书馆,2012.

↓こちらは日本で手に入る中国語の類義語辞典で最大のものです。上級を目指す際に、類義語の問題は避けて通ることができませんので、手元に置いておかれることをおすすめします。