【満席・受付を終了しました】第1期「5年後の自分に感謝される―中国語の足腰をつくる暗唱講座【名文篇】」参加者を募集します(全5回・定員10名)

まったく、こんなに忘れなくても生きていけるのではないかと思うときもあるが、でもこうやることによって、自分のいれものの中に、わずかずつ、水がたまるように、ことばがしみこんでいくのがわかる。

たまった水が蒸発してしまわないうちに、たとえ一滴ずつでも水を落としつづけること、それがもしかしたら「ひたすらに朗読をつづける」ということの効果ではなかろうか。

長澤信子『台所から北京が見える』講談社+α文庫 p.193

今までやりたいと思って温めつづけてきた「暗唱」をテーマにした講座を開催します。

半分はわたしの趣味みたいなものなので、わたしもチャレンジャーの一人として暗唱に参加いたします。

わたしたちは、文化的に高度な言語運用能力を身につけるために、小学校から何年もかけて「国語」の授業を受けてきました。

たくさんの文章に触れ、時に暗唱など課されながら、少しずつ、現在の母語の力を身につけていったわけです。

国語の時間に触れてきた作品の中には、今でも口をついて出てくる一節があるかもしれません。

今、一人の学習者として中国語の「幼少期」を過ごす時期にあっても、優れた作品に触れ、声に出し、暗唱する、という過程が不可欠であることは同じです。

この講座は(好評であれば)シリーズ化を予定しており、続編として別のジャンルの暗唱に挑戦するプログラムも準備しています。

今回は【名文篇】として、中国人であれば誰もが知っているような名文を題材として使用します。

概要

【暗唱】

1回につき500〜600文字(3分)程度の文章を配布しますので、当日までにそれを暗唱していただきます。

参加者は課題の文章を一文ずつ順に暗唱してリレーしていきます。これを2〜3周行います。ランダムで当たっていきますので、いつ自分の番がくるかわかりません。

当然のことながら、当日は課題文を開くことは禁止します。全部頭の中に入れてきてください。

【訳出】

課題文の日本語訳から順不同で一文を提示します。当たった方はそれを即座に中国語に訳します。これも2〜3周行います。(日本語訳は事前に配布します)

【解説】

当日の課題文の要点、訳出のポイントなどを解説します。

※主催者も参加します

今回の講座は主催者である岡本も一学習者として参加します。率先して課題をクリアし、皆さんと緊張感を共有することで、ともに学ぶことのできる場にできればと思います。

「5年後の自分に感謝される」とはどういうことか?

今回の講座で、

・中国語がいきなりペラペラに!

・実践で役立つ言い回し!

・検定試験に合格!

などの「即効性」を期待されているとすれば、それには応えられないかもしれません。海外旅行や留学、ビジネスでの交渉といった場面に出てくるいわゆる実践的表現は、あまり出てこないからです。

しかし、締め切りを定め、まとまった量の文章を頭に入れておき、しかもそれを他の人に披露するという訓練は、言語の学習においては非常に有用なトレーニングとなります。

すぐには効果がみられないかもしれないけれど、確実に基礎の力をつける、いわば「中国語の足腰をつくる」というのがこの講座の趣旨です。

ここで締め切りに追われながら必死で暗唱をこなした経験は、確実に5年後、10年後に大きな財産となります。必ず「やっててよかった」と思えるでしょう。

同じことをしてきた経験者として、強くおすすめします。

もちろん、ここで学んだ言い回しがそのまま登場する場面もあるでしょうし、「訳出」のパートは、通訳の基礎訓練にもなりますので、実用性にも配慮したプログラムにしています。

課題サンプル

このくらいの分量・難易度の文章を暗唱してきていただきます(講座での使う課題文は別に用意します)。

模範朗読の音声、ピンイン、日本語訳、要点の解説も配布しますので、暗唱以外の負担はできるだけ減らすようにしています。

開講日時

対象

中国語の発音・文法をひととおり習得しており、まとまった分量の文章を理解し、声に出して読むことができる方。

大体の目安として、中国語検定3級以上のレベルを想定していますが、何よりも重要なのは、当日までに必ず課題を頭に入れてくる覚悟です。

以下のような思いを抱いて中国語を学んでいる方に参加していただきたいと思っています。

・暗唱は大事だと思っているけど、なんだか億劫……誰かと一緒ならできるかも

・中国語の名文を暗唱してみせて、中国人の友達を驚かせてみたい

・記憶力に自信がないけれど、これを期に強化していきたい

定員

10名(5名以上で開講します)

受講料

¥10,000(税込み)

全5回・1回60分

教材費込み

お支払い方法

メールにてお伝えする銀行口座に一括でお振り込みをお願いします。お振込手数料はご負担ください。

受講方法

オンライン(zoomを使用)で実施します。

教材

こちらで用意します。

用意するもの

PCまたはタブレット

全員の顔を見つつ、広い画面で行っていただきたいため、スマートフォンではなくPC/タブレットでのご参加をお願いします。

遅延のないインターネット環境

スムーズな進行のため、高速インターネット回線での参加をお願いします。

(参考までに、有線で接続するとネットの速度が大幅に上がります。わたしは重要な通信のときはWi-Fiではなくルーターのある部屋から10mのケーブルを引いています。)

zoom

マイクのミュートやカメラのオンオフ操作が確実に行えるようにしておいてください。

ヘッドセット、イヤホンマイク等

PCやタブレット本体のスピーカー・マイクではノイズが大きくなりやすいためです。

声を出せる環境

普段しゃべっている声よりも、はっきりと大きな声を出せる環境で受講してください。

お茶や水などの飲み物

手元に飲み物を用意し、適宜のどを潤すようにしてください。わたしもそうします。

受講にあたってのお願い

参加にあたっては、以下の項目をお守りください。

本名・顔出しで参加してください

同じグループで練習する方々は、ともに進歩するための仲間です。

お互いの信頼関係をつくるためにも、本名・顔出しでのご参加をお願いします。

レッスンは録画します

主催者がレッスンの振り返りのために使用するもので、許可なく公開することはありません(受講者への録画の提供も行いません)。

アンケートへのご協力をお願いします

第5回の終了後に、アンケートにご協力くださいますようお願いします。

遅刻・欠席・途中退席された場合も、返金、振替をしません

時間通りの開催にご協力をお願いします。

主催者側の原因(急病等)でレッスンを中止・延期する場合には返金、振替をします。

自分だけではなく、全員の上達を願ってください

縁あって集まった仲間と、切磋琢磨してお互いに良い影響を与えあいましょう。仲間の上達は自分の上達につながります。

申し込み方法

こちらのフォームからお申し込みください。

【5/9 受付を終了いたしました。たくさんのお申込み、ありがとうございました。】

最後に

ピアノが上手くなりたかったら、クラシックの名曲を暗譜するくらいまで弾き込まなくてはならない。落語家になろうと思ったら、古典落語は空で演じられるようになるまで稽古を積まなくてはいけない。

体が覚えるまで手本をさらうこと。この学習の基本原則を語学に当てはめれば、例文の素読・暗唱ということになる。

卓越した英語力を駆使して駐米大使、外務大臣、さらに内閣総理大臣の重責をこなした幣原喜重郎は、若いころイギリスで師事した英語の先生に暗唱を仕込まれていた。

幣原は、先生が命じるままに毎日3、4ページ分の英文を覚え、先生の前で暗唱・復習をしたという。

斎藤兆史『英語達人塾』中公新書 p.72

噺(はなし)が口を離れて口先三寸のところでしゃべれなければなりません。

自分の口に付いているというのは、まだまだ台詞に念を残して、頭で考えながらしゃべっているからなんですね。

念を残している間は、なにかアクシデントがあると、つい我に返ってしまい、間違えたり、絶句したりするんです。

噺が口から離れていると、例えば頭の中でまったく別のことを考えていても噺が勝手に出てくるんです。

小佐田定雄『枝雀らくごの舞台裏』ちくま新書 p.221

話せるようにならないのは、訳読が悪いのではない。その後に暗唱しないからである。

どんなテキストにせよ、訳出した後に口頭で、日本語から外国語へ訳す練習をすれば、必ず実力がつく。

(中略)

シュリーマンの昔から、暗唱が外国語教育に効果的なのは自明の理なのに、それが実践できていないのは、生徒が暗唱を面倒くさがるだけでなく、教師もまた、そういった単純作業を軽視するからではないか。

つまり、教師自身が面倒くさがっているのである。生徒の暗唱につき合うには、教師にも覚悟が必要だ。

もっとも、本格的にやろうと思ったら、受講生の数を思い切り限定しなければならない。

黒田龍之助『ロシア語だけの青春』現代書館 p.68

ここに引用した一節に何かしら感じるところがあったのであれば、必ず楽しめる講座になります。ご参加をお待ちしています。