“也”と“还”の使い分け

あるテキストを書いていて、「咳が出て、痰も出る」と言いたいところを、

有咳嗽,也有痰。

と書いたところ、共同執筆者である中国人の友人に、

咳嗽的时候还有痰。

と直された。

こういうところでは“也”ではなく、“还”の方がふさわしいようだ。指摘されて、なるほど、と思った。

こんな例文を出して説明してもらった。

她会唱歌,会跳舞。

だと、「歌が歌えて、ダンスも踊れる」という並列関係になるが、

她会唱歌,会跳舞。

だと、「歌が歌える上に、さらにダンスも踊れる」という意味になる。

最初に何かがあって、さらにそこに何かが足されるニュアンスだ。

「咳が出て、痰も出る」は、ただの咳ではなく、痰「まで」出てくる、という意味なので、“还”の方がふさわしくなる。

頭ではわかっていても、実際に表現してみると、こういうところに引っかかってしまうものだ。

知識と運用の間には、深くて広い川が流れている。