《都挺好》(第1話)の中国語表現5選

YouTubeで全話視聴できる

かねてより中国ドラマ界隈で話題になっていた《都挺好》という作品を見始めました。どんな話か、全然知りません。

わたしは腾讯视频のVIP(有料)会員に入っているので(自慢)、最初はそこで見ようと試みたのですが、日本からは観られない仕様なのか、全然うまくいかない。

「おかしいな……」と思いながら何気なくYouTubeで検索してみたら、普通に全話視聴できるようで仰天しました。

というわけで、YouTubeであれば日本在住の人でも観やすいし、ブログの中でも当該のシーンを紹介しやすいので、気になった表現を少しずつ紹介していきます。連続ドラマなので、1話につき5つずつくらいにしておきましょう。

積極的にネタバレはしませんが、セリフを引用する都合上、ストーリーが読めてしまうことがあるでしょうから、そのへんはご諒承ください。

《都挺好》(第1話)の中国語表現5選

落 là

装好了,走吧!
積み込んだぞ、行こう

——没什么吧?
——忘れ物はない?

1:19
セリフの位置から視聴できます

サンフランシスコに住む主人公の苏明哲の一家が、里帰りのために出発しようとしているシーン。

“落”は、「落ちる」という意味で“luò”と読まれることが多い語ですが、ここでは“là”と読まれます。

このとき、“落”は「置き忘れる、(あるべきものが)抜ける、漏れる」という意味で用いられます。

同じ語が、別のシーンでも使われています。

放心吧,大哥。妈的后事该做的,我们一个不都在做。

兄さん、安心して。お母さんが亡くなった後のことは、ひとつも漏らさずにやってる。

11:48

ここでの“落”も「やるべきことが抜け落ちる」という意味で使われているので、“là”と読まれています。

方寸大乱 fāngcùn dàluàn

爸遇事方寸大乱,第一时间没叫120。

事が起こったとき父さんは取り乱して、すぐに救急車を呼ばなかったの。

13:00

「大慌てする、我を忘れる」といった意味で使われます。“方寸已乱”とも言うそうで、小学館の中日辞典(第3版)にはこちらが収録されています。

“方寸”とは「」を表します。わたしも調べてみるまで知らなかったのですが、日本の国語辞典にも「方寸(ほうすん)」の項が立てられており、「心の中」などの語釈がつけられています。

日本国語大辞典(精選版)によると、「心は胸中方一寸の間にあるとするところから」きているそうです。

ちなみに、中国では消防と救急は電話番号が分かれていて、消防は日本と同じ119、救急は120です。

咽气 yànqì

爸居然等到妈咽气了才通知我们。

父さんは母さんが息を引き取った後に連絡してきたの。

13:25

“咽”は多音字で、yānと読むときには「のど」という意味になり、yànと第4声で読むときには、「飲み込む」という動詞になります。これは「嚥下」の「嚥」を簡体字にしたときに“咽”の字に統合されたものです。

「息を飲み込む」と書いて、「息を引き取る」という意味になります。そういえば、そもそも日本語の「引き取る」ってどういう意味なのか、よくわからなくなってきました。

借过 jièguò

借过一下,借过一下!

ちょっとどいてください!

28:40

回想シーンにて、高校生が自転車で後ろから走ってきたときに言うセリフです。

自分の通り道に誰かがいて、道を譲ってほしいときの声のかけ方がわかりますね。“借”という語が使われるのが大変興味深いです。

窝囊 wōnang

気丈な性格の母親が、夫を叱りつけて言ったセリフです。

なかなかキツイ言い方……

一辈子就这么窝窝囊囊的! 我可不想让儿子像你这样!

そんな風にずっとウジウジして! 息子には絶対にあなたみたいになってほしくない。

41:06

「意気地なし、不甲斐ない」という意味の語です。

“窝”は名詞としては「」、動詞としては「縮こまる、引っ込む」という意味で使われます。

“囊”は「」という意味です。

“窝”も“囊”も「物や人を収納するところ」という意味がありますので、そこから転じて「引っ込み思案、意気地なし」となったのだと思われます。

砸锅卖铁 zá guō mài tiě

息子の米国留学の費用が高額になることを知り、それでもなんとかして米国に行かせようと決意した母親のセリフです。

就是砸锅卖铁,我也要让儿子去美国读书!

家にあるもの全部売り払ってでも、あの子をアメリカに行かせるから!

41:17

“砸”は「つぶす」という意味です。つまり、「鍋をつぶして、その鉄を売ってでもお金を作る」、全財産かけてでも何かをする、というときに使う言葉です。

表現収集はほどほどに

しかし、《都挺好》というタイトルの意味がわからないくらい、不穏な出だしのドラマでした。「どこも“挺好”ちゃうし!」というツッコミが入りまくったことでしょう。

表現は5つ紹介したくらいで次に進みたいと思います。本当は10個くらい紹介したいのですが、それをやっているといつまでも次が観られなさそうなので。

しかし、いくらでも知らない表現が出てくるので、ため息が出るとともに、無限に楽しめることを喜んでいます。

よろしければ、また第2話も一緒に勉強しましょう。それでは!

(中国のサイトでちょろっとあらすじを確認したら、何かイヤーな話になっていきそうなので、どこかで挫折するかも)

追記:6選だった……

見返してみたら「5選」でなく「6選」になっていることに気づきましたが、今更削除するのももったいなので、このまま残します……

▶「第2話」はこちら