
今回は、比較の否定を学びます。
これまでは、「○は▲よりも□だ」(○>▲)と、程度が上回っている場合の表現をしてきました。
今度はその逆、つまり「○は▲ほど□ではない」(○<▲)という表現です。
“没有”の登場
「中国は日本よりも大きい」
という文を中国語にすると、
中国 比 日本 大。
Zhōngguó bǐ Rìběn dà.
となります。
これを日本の側から言うと、「日本は中国ほど大きくない」ですよね。
中国語ではこうなります。
日本 没有 中国 大。
Rìběn méiyǒu Zhōngguó dà.
(日本は中国ほど大きくない。)
“比”がいなくなって、“没有”という語が出てきました。
“没有”というのは「ない、持っていない」という意味で使うことが多い語ですが、ここでは、「〜に及ばない」「〜ほど…ではない」という意味で使われます。
「日本には中国ほどの大きさは“ない”」という風に理解するといいでしょう。
ちなみに、「存在しない、持っていない」という意味で使う場合、“没有”は“没”に置き換え可能です。
(例:“我没/没有钱。(私はお金がない)”)
しかし、比較の場合は“没有”にします。
我 没有 他高。
Wǒ méiyǒu tā gāo
(私は彼ほど背が高くない。)(※我没他高。)
語順はこうなります。
主語 “没有” 比べる相手 形容詞/動詞
日本 没有 中国 大
“不”で否定するとニュアンスが変わる
では、一般的に否定の場面で用いられる“不”を使う機会がないかというと、そんなこともありません。
我 比 他 高。
Wǒ bǐ tā gāo.
(私は彼より背が高い。(私の身長 > 彼の身長))
この文を、「私は彼ほど背が高くない」とするには、上に挙げたように、
我 没有 他 高。
(私の身長 < 彼の身長)
とするわけです。
では、“我比他高。”の “比” を “不” で否定してみると、どうなるのでしょうか。
我 不 比 他 高。
Wǒ bù bǐ tā gāo.
これは、「私は彼より背が高いわけではない。」という風に訳せます。
つまり、彼よりも背が低いかもしれないし、彼と同じくらいの背丈かもしれない、という含みが出ます。
「彼の身長 ≧ 私の身長」となるのです。
こんな風に考えてみましょう。
“不” の後ろをカッコでくくってみます。
我 不 ( 比 他 高 )。
“我不比他高”は、“不” の後ろにある“比他高”を否定しています。「彼よりも高い…のではない」ということです。
これは、“我不吃饭(私はご飯を食べない)” が、“不” の後ろにある “吃饭 ”を否定しているのと同じです。
「彼より高い」ということだけを否定しているので、具体的に「私」の身長が彼より低いのか、それとも同じくらいなのかまでは言及していないのです。
したがって、日本語にするにあたっては、「私は彼より背が高いわけではない」あたりが妥当な線になってくるわけです。
“不” で “比” を否定することが、必ずしも逆を言うことにならないことがおわかりになるかと思います。
練習問題
次の文を、“没有”を用いて元の文と同じ意味になるように直し、日本語訳しなさい。
(例)我 比 他 高。→ 他 没有 我 忙。
(1)我 比 他 忙。
(2)她 比 我 游 得 快。
(3)你 的 学习 时间(shíjiān) 比 我 长(Cháng)。
(4)南京(Nánjīng) 的 夏天 比 青岛(Qīngdǎo) 热。
解答
(1)他没有我忙。
(2)我没有她游得快。
(3)我的学习时间没有你长。
(4)青岛的夏天没有南京热。