比較1 “比”は動詞のように ―基本の中国語文法

「○○は△△よりも□□だ」という風に、何かと何かを比べるときの表現を学びます。

英語を学んだとき、比較級に苦労した人は少なくないのではないでしょうか。形容詞が変形したり、”than”が入ったりして「随分と勝手が違うなあ」と思った記憶があります。

その点、中国語の比較文の作り方はとても簡単です。

「比べる」から“比 bǐ”

まず、「私は弟より背が高い」という文を、作ってみましょう。

比較文を作るには、“比 bǐ”を使います。「比べる」から“比 bǐ”。そのままですね。

「私」=”我” と「弟」= ”弟弟”を比べるので、こうなります。“比”は前置詞(介詞ともいう)ですが、歴史をさかのぼると、もとは「比べる」という意味の動詞なので、動詞として扱ってみるとわかりやすくなります。

つまり、中国語の基本語順であるSVOの形で並べればいいのです。

我 比 弟弟……

wǒ bǐ dìdi……

(私は弟と比べると……)

そして、「背が高い」は中国語では“高 gāo”です。「背」は言わなくてもいいのです。

日本語では「富士山は槍ヶ岳よりも高い」とは言えますが、「※私は弟よりも高い」とは言えません。

考えてみれば、山の高さも人の背の高さも「垂直方向の長さ」という点では同じなので、理屈の上では「私は弟よりも高い」と言えそうなものですが、日本語ではそうは言えないのですね。そういう意味では、中国語は山も人も平等に扱っています。

○○と△△を比べたら、□□だ

日本語の「〜よりも」のようなつかみどころのない表現を中国語でどう言うかを考えると、混乱してしまいます。

中国語では、

「私と弟を比べる→(比べてみたら私が)背が高い」

という風に考えてみましょう。このままの流れに沿って、文を組み立てます。

我 比 弟弟高。

Wǒ bǐ dìdi gāo.

(私は弟と比べると、背が高い。)

これをもう少しこなれた日本語にすると、

私は弟より背が高い。

となります。

語順のしくみをまとめると、こうなります。

主語 “比”  比べる相手 形容詞/動詞
  我     弟弟    

いくつか例文を見てみましょう。

今天 昨天

Jīntiān bǐ zuótiān rè.

(今日は昨日より熱い。)

飞机 新干线

Fēijī bǐ Xīngànxiàn kuài.

(飛行機は新幹線より速い。)

“还”、“更”で、「もっと」、「さらに」意味が強くなる

「発音の方が文法よりもっと難しいよ」という風に、程度がはなはだしいことを伝えたいときがありますよね。

中国語にも「もっと」に相当する表現があります。

それが “还 hái”  “更 gèng” です。

发音 语法  

Fāyīn bǐ yǔfǎ hái nán.

(発音の方が文法よりもっと難しい。)

他 家 我 家  

Tā jiā bǐ wǒ jiā gèng dà.

(彼の家は私の家よりさらに大きい。)

それでは、練習問題を解いてみましょう。

練習問題

次の語を、日本語の意味に合うように正しい順に並べ、発音しなさい。

(1)九州(Jiǔzhōu),冷(lěng),比,北海道(Běihǎidào)。

(北海道は九州より寒い。)

冷:寒い


(2)书,本,书,贵,比,这,本,那。

(この本はあの本より高い。)

贵guì:高い


(3)比,远(yuǎn),便利店(biànlìdiàn),超市(chàoshì),还。

(スーパーはコンビニよりもっと遠い。)

远:遠い


(4)大阪(Dàbǎn),小(xiǎo),比,更,东京(Dōngjīng)。

(大阪は東京よりさらに小さい)

小:小さい

(解答は一番下です)

中国語では比較文はとてもシンプルなので、比較文を作るのもそう難しくありません。

次回は、比較した「差」について述べる文の作り方を説明します。

練習問題の解答

(1)北海道比九州冷。

(2)这本书比那本书贵。

(3)超市比便利店还远。

(4)大阪比东京更小。