なんか楽しくなってきたぞ(ストーリー展開は陰鬱)
「1週間に1本ずつくらい、1年かけて観ていこうかねぇ」
などと思っていましたが、第1話の続きがちょっと気になってきたので、第2話を視聴しました。
第1話ですっごいイヤな妹ぶり(あの口を歪めた表情の演技は最高ですね)を見せてくれた末っ子の苏明玉が、なぜあのような人になってしまったのかが回想シーンでネットリと描写された回でした。そりゃ人格歪みますわ……
第1話がほのぼのホームコメディに思えるくらい、陰鬱な展開になっていった第2話の中国語表現をさっそく見てみましょう。
わたしが個人的にシビレた中国語表現5選です。
《都挺好》(第2話)の中国語表現5選
贴金 tiējīn
無事に米国の大学に行けることになった長兄の苏明哲。家にやってきたおじが苏明哲の母に言ったセリフです。
姐,这明哲真能耐啊。大学都考到美国去了,这可是给老苏家脸上贴金呢!
姉さん、明哲はすごいな。アメリカの大学に行くなんて、わが蘇家の誇りだよ!
1:05
“贴金”は「金箔を貼る」という意味で、神仏の像を装飾することを言いましたが、それが転じて「〜に栄誉をもたらす」「飾り立てる」という意味で使われています。
“往~贴金”や、“给~贴金”といった形で使われます。
尖子生 jiānzishēng
旅行のため、母に「2000元貸してほしい」と言った兄の苏明成。母は快く承諾するばかりか「助成してあげる」といって2000元を明成にあげると言います。
それを見た妹の苏明玉も、学校の特別講習のために1000元を出してほしいと母に求めます。
学校办了个强化班,要住校,让我们这些尖子生强化复习。
私たち成績トップの生徒の復習のために、学校で泊まり込みの特別講習があるの。
10:30
ところが、明成には2000元をあげると言っているのに、娘が勉強のために出してほしいという1000元については、けんもほろろに拒絶します。なぜだ……
白眼狼 báiyǎnláng
話は現在に戻って、明成が兄の明哲に、妹の明玉を形容してこう言いました。
你才跟她待了几个小时你就有这感受,妈说的没错。她就是一个白眼狼。
数時間一緒に過ごしただけで感じただろう。母さんの言うとおりさ、あいつは薄情者なんだよ。
16:26
小学館の中日辞典(第3版)には「薄情者」という語釈が掲載されていますが、现代汉语词典(第7版)には“称忘恩负义的人”(恩を忘れて義に背く人間を指す)とあります。
「受けた恩を仇で返すような、人間性を忘れたやつ」というような、かなり侮蔑的な意味が込められています。
圆谎 yuánhuǎng
「服を取りに行く」と言って家に戻った父の苏大强。実際にはへそくりの預金通帳を取りに行ったのでした。娘の苏明玉にそれを知られた後のセリフ。
你不跟人说你是回来取衣服的吗? 你现在一件都没拿你跟他们怎么圆谎啊?
服を取りに帰るって言ったでしょう。1枚も持たずに、どうやって言い繕うの?
20:55
“圆”は「円」という意味です。そこから転じて、「丸く収める」「万全にする」という意味で用いられます。
辞書では動詞に分類されていませんが(使われ方が限定的であるためでしょう)、かなり動詞的な用いられ方だと思います。他には、“圆场”(場を繕う)、“自圆其说”(話の辻褄を合わせる)といった用法があります。
“谎”は「ウソ」です。“谎言”(ウソ)、“撒谎”(ウソを言う)などの語で用いられます。
ちなみに、日本語で「ウソ」という意味で使われる“嘘 xū”には「ウソ」という意味はありません。
手头紧 shǒutóu jǐn
浪費家の明成からへそくりを隠す相談をしている父の苏大强のセリフです。
你说这要是让明成发现了我这儿有钱,哪天他手头紧了那还不得抢去用啊。
明成なんかに金があることを知られてみろ、いつか懐が寂しくなったときに取り上げられるに決まってる。
33:21
“手头紧”は、「懐が寂しい」「手元不如意」など、お金に困ることを表すものです。
手に握っているお金が少なくなって、緊迫している状態から来ているのだと思われます。
(おまけ)爸/妈
とりたてて難しい語、知らない語、というわけではありませんが、気になったシーンがあります。
回想シーンで、娘の明玉が学校から帰ってきたところです。
爸! 妈!
ただいま!
4:10
言っているのは「お父さん」「お母さん」ですが、ここは絶対に「ただいま」としか訳すしかないところです。
中国人はあいさつがわりに目の前の人の名前を呼び、相手を認識していることを伝える、ということでしょう。
兄妹の仲は決定的に決裂してしまうのか……
第1話の後半から話がなんだかドロドロしてきたので、不安な気持ちで第2話を見ましたが、なんだか大変なことになってきました。
兄妹の対立が決定的になったことも気になりますが、明玉が葬儀に出席したことで大事なアポイントメントをすっぽかした形になり、事業の方が上手くいかなくなる可能性も示唆されています。目が離せません。