中国語検定1級合格に向けた勉強のしかた

日本中国語検定協会が主催している「中国語検定」は、日本を代表する中国語資格試験として知られています。

そのなかで、最高級である1級は、一次試験と二次試験にわけて行われます。

試験は年一回しか開催されておらず、その合格率の低さと対策の難しさで知られています。

合格基準点はリスニングと筆記がそれぞれ85点(回によって変動はあります)となっており、両方を満たさなければ合格できません。問題のマニアックさとハードルの高さは他の級を圧倒しています。

2016年(第90回)は、一次試験で受験者数325人に対し、合格者数は19人と、合格率はわずか5.8%でした。(これでも近年では上がってきているようです)

準4級から2級くらいまでは、出題範囲はある程度決まっていますので、頻出する単語や文法問題に的を絞って学習することで、ある程度対策はできてしまいます。

しかし、準1級・1級レベルでは、出題はあらゆる分野に及び「これをすれば受かる」といった付け焼き刃はまったく役に立ちません。準1・1級では二次試験もありますので、本物の実力がなければ簡単に落とされます。

確実な基礎をつくった上で、揺るがない実力をつけていくしかありません。

では、私はそんな高いレベルを目指す受講生にどんな指導を行っているか。

手取り足取りの指導は、このレベルになると必要ありません。いたずらに通学をするのはお金と時間のムダですし、はっきりいって日常で必要なレベルは超えていますので、中国語ネイティブとおしゃべりしているだけでは到達できません。

身も蓋もない言い方ですが、

「自分でどれだけ机に向かって学習できるか」

これがすべてです。

まず、実力を測り、現在足りていない部分を見きわめて、個別のカリキュラムを作成します。

具体的にいうと、まずはリスニングから徹底的に鍛えます。ニュースだろうと散文だろうと小説だろうと、初めて聞く文章の8〜9割は聞き取れる水準を目指します。ほとんどこれに尽きるといってもいいかもしれません。

そして読解。これは、大量の文章を読み、精確な日本語に訳すという作業を通して身につけます。文法知識の不足は受講生に日本語訳をさせてみればすぐにわかります。

ひととおりの知識を身につけた中〜上級者であっても、与えた中国語文を日本語にしてもらうと「こんな感じかなー」と、感覚で曖昧に処理してしまっている部分は、見る人が見れば一目瞭然です。「あ、ここはごまかしているな」というのがくっきり浮き出てきます。

読解力、文法知識を確固たるものにした上で、日文中訳の練習を繰り返し行い、あらゆる表現ができるように鍛えます。

おおむねこのようにして、「あなたは○○を一日どのくらい、△△をどのくらい」という風に、トレーニングメニューを作ります。仕事などもあるでしょうから、それとの兼ね合いで実行可能なプログラムを作成するわけです。後は定期的にチェックしていくのが講師のしごととなります。

人によっては数年がかりのプロジェクトになるでしょうが、ここまでエネルギーを注いで身につけた言語の力は一生モノの武器になります。

もちろん、これに合格したからといって「中国語を極めた」とは到底いえず、プロのほんの入口にしかすぎません。

しかし、目指してみる価値のある、高い目標であると思います。