《阿熊的故事》(毛丹青・著)を朗読しました

『長文読解の“秘訣” マオ老師の中国語エッセイで楽しく学ぼう(新装改訂版)』(毛丹青・佐藤晴彦著/東方書店刊/2019年)

という中国語の参考書に収録されている、《阿熊的故事》(クマちゃんのこと)という一編を朗読しました。(権利者の許諾を得ています)

権利の関係でスクリプトは載せられませんが、これは毛先生が雨の日に野良ネコのクマちゃんに出会ったときのお話です。

わたしは毛丹青先生の作品は数多く読んできていて、中国語のエッセイ集は1本を100回ずつ音読するという練習に使っていたこともあります。

日本では『にっぽん虫の眼紀行 中国人青年の見た日本』というエッセイ集で知られています。

「日本と中国」という大きすぎる対象から離れ、一人の生活者として市井の人々をつぶさに観察する「虫の眼」で語られる日本。わたしたちの周りにあるもののなかに、無数の宝物が隠れていることに気づかされます。ぜひご一読を。

毛先生はわたしの母校で客員教授をされているのですが、わたしはタイミングが悪く、在学中に授業を受けることはできませんでした。很遗憾……

さて、今回取り上げた『長文読解の“秘訣”』ですが、過去にアルクで出版されたものが、東方書店から再版されたものです。

もうひとりの著者である佐藤晴彦先生はわたしが大学時代に指導していただいていた先生でして、本書では解説と日本語訳を担当しています。

個人的なことはともかくとして、Amazonで「本文の解説が抜群に懇切丁寧、時にはしつこいくらいです」というレビューがつくほどに、一字一句といっていいくらいに詳しい解説がつけられています。佐藤先生本人から聞いたところ、新装改訂版では解説や訳文にもかなり手を入れているそうなので、旧版を持っている方も手にとってみてください。

わたしが嬉しかったのは、DL音声がアナウンサーによる吹き込みになっていたことです。旧版のものも味があってよかったのですが、やはり教材という性質上、プロのナレーター、アナウンサーが担当するほうが望ましいでしょう。

中級から上級を目指している方で、いまいち中国語の読解に自信がもてないという方は、本書で中国語の文章を分析する訓練をして、その後に繰り返し音読をするという勉強法に取り組んでみることをおすすめします。

このような読解のための本というのは日本の市場では本当に少ないので、いつか自分もこんな教材を作ってみたいものだなあと、密かに大胆な願いを抱いているのでした。