翻訳できない中国語なぞなぞ―1

なぞなぞで言語感覚を身につける

小学生くらいのときに、友達となぞなぞを出し合って遊んだことがあると思います。わたしは図書室や書店でなぞなぞの本をたくさん読んで、とっておきのいじわる問題を出して困らせていた記憶があります。当時から性格がアレだったんですね。

さて、なぞなぞは、大きく分けて2種類あるのですが、わかりますか?

ひとつは、言語に依存しない、普遍的な問題。

「うちの父は体調も悪くないのに毎日病院に行っている、なぜ?」 

答え―父はお医者さんだから

このタイプの問題はどんな言語に翻訳することもできます。

もうひとつは、言葉遊びによる問題です。これは他言語に翻訳することができません。

「冷蔵庫の中に入っている動物は?」

答え―ゾウ

これは他の言語に移し替えることはできないでしょう。日本語だからこそ成立する問題です。

わたしは、この2つ目の「翻訳できないなぞなぞ」が、言語学習にもってこいの素材だと考えています。その言語の文法や語彙、文化、習慣などが色濃く出るのがこのタイプのなぞなぞです。

楽しみながら問題にチャレンジしているうちに、いろいろな角度からその言語を眺め、語彙を増やし、構造を分析する訓練ができるようになる、というわけです。ひとつひとつが短いので、サクサクとこなしていける、という利点もあります。

というわけで、「翻訳できない中国語なぞなぞ」を紹介します。(クリック/タップすると答えを見ることができます)

問題と答え、そして簡単な解説もつけています。無謀な挑戦であることはわかっていますが、とりあえずの訳もつけておきます。

問題

1.中国哪个地方的东西最不便宜?
(中国で一番モノの値段が高い場所はどこ?)

答え
贵州(貴州)
【解説】「値段が高い」は中国語では“贵”なので、“贵州”が答えになります。簡単ですね。

2.世界上哪个地方下午比早上先到?
(午後が朝よりも先にやってくる場所はどこ?)

答え
字典里(辞書の中)
【解説】中国語辞典では、“下午”が“早上”よりも前のページにあります。

3.有一个独木桥,桥的一端有一只老虎准备过桥,桥的另一端有一只狼也准备过桥,在桥中间有一只羊正在过桥,羊怎么过去的?
(一本橋があった。橋の片方からはトラが、もう一方からオオカミが渡ってこようとしている。橋の真ん中には一匹のヒツジがいる。さて、ヒツジはどうやって渡った?)

答え
晕过去的(気を失ってしまった)
【解説】“过去”には何かを「通り抜ける」という意味がありますが、方向補語として使うときに「正常な状態を離れる」という用法があります。「あちら側の世界に“行ってしまう”」というようなニュアンスです。“晕过去”で「気を失う」という意味になりますので、橋を「渡る」という意味に見せかけて、「気絶する」という意味で“过去”を使っている、というわけです。

4.水为什么不能掉在盘上?
(どうして水をお皿に落としてはいけないの?)

答え
那是键盘(キーボードだから)
【解説】“盘”というのは「お皿」を指しますが、“键盘”で「キーボード」という意味になります。「“盘”は“盘”でも、濡らしてはいけない“盘”は?」という感じですね。日本語でも「鍵盤」という言葉はありますが、「盤」という言葉を食器という意味で使うことは少ないため、やはり日本語には訳しにくい問題です。

5.小明总是喜欢把家里的闹钟整坏,妈妈为什么总是让不会修理钟表的爸爸代为修理?
(明ちゃんはしょっちゅう家の時計を壊してしまう。お母さんはいつも、時計の修理ができないお父さんに修理を頼んでいる。どうして?)

答え
修理小明(明ちゃんを折檻している)
【解説】“修理”には「修理する」という意味のほかに「打撃を与える,懲罰を加える,ひどいめに遭わせる」という意味があります。時計を“修理”するのではなく、子どもを“修理”して懲らしめている、というちょっとブラックななぞなぞでした。

今回は手始めに5つ問題を紹介しました。

また機会があるごとに紹介していくつもりですので、よろしければお付き合いください。