
『中国語類義語辞典』を紹介します。
ぜひ座右に置いて、「引く」のではなく「読んで」いただきたいと思います。
外国語を学習するにあたって強調されるのは、使える語彙を増やすことの重要性です。
ところが、語彙が増えてくると、今度は似た意味を持つ単語の区別が難しくなってきます。
なんとなく違いがわかっていても、いざ使おうとしたときにどちらが相応しいのか選択に迷ったり、そもそもわかっていないことにすら気づいていないことも多い。
そんなときに役に立つのが類義語辞典です。研究が進んでいる英語と比べて、日本ではこれまで本格的な中国語の類義語辞典はありませんでした。
辞典ではなく、200ページ程度の参考書としては『中国語 類義語のニュアンス』『どうちがう? ―中国語類義語のニュアンス〈2〉』という本が出版されていましたが、現在ではどちらも絶版となっています。
比較的新しいものには、『どう違う?例文で覚える中国語類義語1000』があります。こちらは中国で出版されたものを翻訳したものです。
今回の『中国語類義語辞典』の主編者である相原先生は、これまで出版された『講談社中日辞典 第三版』や『東方中国語辞典
』でも積極的にコラムで類義語を取り上げていましたが、今回は全ページが類義語であり、かなりの読み応えがあります。
“希望”と“期望”のような動詞や、“的确”と“确实”のような副詞が多く取り上げられていますが、“计算机”と“电脑”、“年纪”と“年龄”のような名詞の類義語の微妙な使い分けにも細かい説明があり、かなりの上級者でも「目からウロコ」がぼろぼろと落ちてくるはずです。
初級の段階で、ふと思い浮かんだ疑問を調べるのにも役立ちますし、一通りの学習を終えた中級者が上級者を目指すにあたっては必携となる一冊でしょう。
この内容で¥4,500というのはあまりにも良心的な価格設定だと思います。
個人的には倍の値段でも買っていたでしょう。著者の先生方、出版社のご尽力に敬服します。