マシュマロにご質問を頂きました。
単語の効率的な覚え方……永遠のテーマです。
結論から言うと「ありません」と言うしかないのですが、それでは話が終わってしまいます。
わたしがどのように覚えてきたか、というお話ならできますので、それをお答えに替えたいと思います。質問者さんのお役に立てるものがあるかもしれません。
文単位で覚える
昭和のお父さんであれば、「風呂!」「メシ!」「寝る!」で日常生活が送れたかもしれませんが、そのような時代は終わってしまいました。
単語は必ず文の一員として出てきます。そして、単語と単語には相性、というか、一緒に出てきやすいペアというものがあります。「コロケーション」というものがそれですね。
例えば、“作业”なら“做”(する)や“写”(書く)、“交”といった動詞が思い浮かびます。
このような相性のいい動詞とセットにして、何らかの状況を設定した文単位で覚えることをおすすめします。
単語だけが羅列された単語帳や、単語カードのようなもので、単語と単語だけを一対一で覚えることはあまりおすすめしません。
日本語を深く知る
よく知られているように、日本語と中国語は多くの語彙が共通しています。日常生活で使われる語はかけ離れているものが多いですが、“经济”や“哲学”など、抽象的な語彙になればなるほど、近現代の歴史的要因もあって、日中の語彙は共通のものが増えてきます。
日本近代文学を読む
また、現代小説ではなく、夏目漱石や芥川龍之介、太宰治といった、国語の教科書に載っているような明治〜昭和初期にかけての文学作品では、現代中国語でよく見かけるような漢字の使い方が多数みられます。
漢和辞典を引く
現代中国語を勉強しているのだから、辞書を引くときは中日辞典を引くに決まっていますが、ちょっと気分転換のつもりで漢和辞典を引いてみると、思わぬところで日本語との共通点を見つけることができ、中国語の単語が外国語の単語に見えなくなってきます。
外国語の単語だと思わないようにする
「効率的な覚え方」を尋ねている人に「日本文学を読め」とか「漢和辞典を引け」とか、非効率なことばかり説いてきて、あまり参考にならなかったかもしれませんが、日本語を知れば知るほど(わたしもそんなに知っているとはいえませんが)、日本語と中国語との境界が薄れていくことを感じます。
そうすると、不思議なことに、中国語としては見たことのない語であっても、日本語の知識を支えにすることで、辞書なしで理解することができるようになってきます。
相談者さんには、日本語と中国語を分けて考えることなく、同じ漢字を使った、根っこを同じくする言語だという認識を持っていただけたらなと思っています。
↓キクタンが改訂され、すべての例文に音声がつくようになりました。文単位で覚えるのであればこちらはおすすめです。