マシュマロにまた質問をいただきましたので、こちらでお返事をします。
いつもお読みくださりありがとうございます。さっそくお答えしていきたいと思います。
一人目の先生に「裏声気味で」と言われ、もう一人の先生には「高すぎる」と言われ、2人の先生からそれぞれ異なる教え方をされて困っている、ということです。
どちらも間違っていない
わたしが推察するに、2人の先生方はどちらも間違ったことは教えていません。それぞれが想定するものが異なっている、ということだと思われます。
わかりやすくするために、一人目の先生を「A先生」、二人目の先生を「B先生」と呼ぶことにしましょう。
結論から言うと、A先生は練習用の教え方を、B先生は実践用の教え方をしていたのだと思います。
A先生の立場
まず、A先生の立場に立って、その意図を考えてみます。
日本語と中国語は、使う音の高さの幅が大きく異なります。
こちらのニュースの動画を見てみましょう。CCTV(中国中央テレビ)の女性アナウンサーの声を聞いてみると非常にわかりやすいです。
第1声や、第4声の出だしが非常に高く発音されていることがわかります。
日本人学習者が中国語を学ぶ際、この第1声が低くなることがきわめて多いのです。「高く」しているつもりでも、まったく高さが足りていないことがほとんどです。
もちろん、アナウンサーの声は「よそいき」の声なので、普段の会話でこんな話し方をするわけではありません。わたしたちだって、日本語を話すときにNHKのアナウンサーのようなしゃべり方はしていません。
しかし、ひとつの目安として、このくらいの高さの音が出せるようになっておく必要はあります。そのため、教師はよく日常生活で使わないレベルで第1声を上げ、第3声を下げることを要求します。
わたしたちだって、国語の時間には教科書を明るく大きな声で、ハキハキと読むことを求められていたはずです。あれと同じです。
B先生の立場
一方、B先生の立場はおそらく「自然な会話」の第1声を志向しています。
より日常会話に近いドラマの1シーンを見てみましょう。
先ほどのアナウンサーの仰々しい読み方とは違い、抑えめの声で話していることがわかります。
B先生は、このような、日常生活で普通に出てくる話し方を想定していたため、A先生の指導によって音が(日常生活より)高く出ていた相談者さんに対し、「高すぎる」との指摘をしたものと思われます。
A先生方式からB先生方式へ
わたしならば、先にA先生のようにちょっと過剰なくらいに高く上げる練習をしてもらってから、B先生のような、自然な音の出し方へ移行してもらいます。
というのも、先にB先生方式で「自然な」高さで上げ下げをしてもらおうとしても、ほとんどの日本人学習者は上手くできないからです。
音の高低が不十分になり、ボソボソとした発音になってしまうのです。1声なのか3声なのかよくわからない、メリハリのない音が染み付いてしまった結果、相手に伝わりません。
最初に、「第1声は地声で出せる一番高い音、第3声は地声で出せる低い音で」という風に、限界まで音の上げ下げをする練習をしておくと、実際に使うときには音が自由に使えるようになっていきます。野球選手が練習のときにバットに重りをつけて素振りをするようなものです。
というわけで、わたしとしては、学習歴1年くらいの相談者さんには、練習のときには練習だとわりきって、できるだけ「大げさに、ちょっとやりすぎるくらい」で高く/低く発音しておけばよいと思っています。
練習のときにちょっと高すぎる音を出していたとしても、実際の会話のときには、それなりに自分で調整して音を下げられることが多いからです。
そういった意味で、わたし自身もA先生的な教え方に共感する者の一人です。
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