医療通訳の学習、解剖生理はマンガでイメージを―『まんが 人体の不思議』

医療通訳を学ぶにあたって、「何をどのくらい学べばいいのかわからない」という疑問を持つ方が多いようです。

もちろん、知識はあればあるほどいいのですが、無限に勉強できる時間とエネルギーがあるわけではありません。

わたしが大体の目安として考えているのは、臓器や器官などの用語を即座に起点言語から目標言語に訳出できること。そして、人体の正常な構造とはたらきについてイメージを描けることです。

最初から教科書の細かい説明をごりごり読んでいくよりは、ざっくりとマンガでイメージをつかみ、さらに別の資料で個別の知識を肉付けしていくという順で学んでいけば、脱落しにくくなります。

ちくま新書から、こんな本が発売されたのでご紹介します。

『まんが 人体の不思議』(茨木保、ちくま新書)

最近の新書はなんでもありですね、まさかこんな学習マンガが出るなんて。

細胞、消化器、血液…と、全十章にわけてそれぞれの器官系のはたらきを楽しく解説してくれています。

けっこうギャグも挟まれていて、わたしは電車の中でクスクス笑いながら読んでいました。

聞き手役の看護師さんとネコがいい味出してます。

p.80より

なぜか自称が「おら」で、「〜だべ」という口調なのですが…

新書としては厚めの本ですが、マンガということもあって一気に通読してしまえます。

医療知識を手軽に学びたいという方にはうってつけの一冊です。

ちなみにこの茨木保先生は医師で漫画家でもあるという異才の持ち主で、『まんが 医学の歴史』や『ナイチンゲール伝』という名作を執筆されています

また、医療系の学生向けに書かれた『ビジュアルノート』は、さまざまな病気をイラストで紹介してくれていますので、大変参考になります。

わたしも鍼灸師の国家試験の勉強でお世話になりましたし、医療通訳の教材を執筆するときに参考にしています。

「体の中」という、いちばん近くにあって、いちばんよくわからないものを学ぶには、その構造とはたらきをできるだけイメージできるようにするのが近道です。

ぜひ、マンガをあなたの学習に役立ててください。