暗唱に臨む心構えとは―中国の国語教科書暗唱講座第1回

念願の暗唱講座がスタート

7月に募集をしていた中国の国語の教科書を使った暗唱講座の第1回を開催しました。

ずっとこのような形の講座をやってみたかったので、ようやく実施にこぎつけることができ、(大げさですが)感無量です。

まとまった量の暗唱に取り組んだことがない、という方が主な対象の講座ですので、最初の数回は軽めの内容です。

第1回の課題

せっかくですので読者の方にもシェアしましょう。今回は、このような内容のものを暗唱してきてもらいました。

(リンクのあるものはタイトルをクリックすると本文を読むことができます)

  1. 上学歌
  2. 天地人
  3. 金木水火土
  4. 口耳目
  5. 对韵歌
  6. 一片两片三四片
  7. 咏鹅

暗唱に入る前に、順番に自己紹介をしました。

単に自己紹介をして「よろしくおねがいしますー」だけだと味気ないので、少しだけ工夫をしました(内容は参加してのお楽しみ)。

学習歴の浅い方、長い方、いろいろな経歴の方が集まって、なかなかにバラエティ豊かです。意外な方が参加しているのに驚いたかもしれません。

それが終わると、いよいよ一人ずつランダムで当てて、暗唱してもらいました。覚えていることを証明してもらうため、閉眼での暗唱をお願いしました。

暗唱に臨む心構え

「心構え」というとちょっと堅苦しいですが、「こういう風に考えて取り組んでほしい」ということを最初にお伝えしました。

この場にいる時点で、9割9分は終わっている

暗唱は事前の準備がすべてです。準備を整えて、みんなの前で披露するだけなので、ここでは自分の持っているものを吐き出すだけです。

よく見せようとする必要もないし、自分を卑下する必要もありません。なので、あまり気負わないでください、という話をしました。

自分なりの課題に挑む

学習歴が浅ければ、覚えるだけで精一杯かもしれません。たとえ覚えられたとしても、声調や無気・有気音がおろそかになることもあるでしょう。その方にとっては、まずは頭に入れること、そしてできるだけ正確な発音で言えるようになることが課題になります。

学習歴が長く、覚えることも苦にならない、もちろん発音も大丈夫、という方であれば、ただの暗唱から「表現」へと昇華させる努力が要るでしょう。

同じ教材を使っていても、学習のステージによって挑むべき課題は多種多様です。当たり前ですが、勝ち負けも何もありません。

暗唱という営為を通じて、自分の課題に向き合うきっかけを作ってほしいと考えています。

覚えていないからといって「申し訳なく」思う必要はない

たとえ課題がこなせていなかったり、ど忘れして言えなくなってしまったとしても、誰に迷惑をかけることもありません。なので、堂々と「パスします」あるいは「ここからは覚えていません」と言っていただければいいのです。

「自分が足を引っ張る」といった考え方は不要です。自分の責任で勉強して、自分の責任で結果を引き受ければいいだけです。

グループでの講座ですが、そこはある意味で自分本位でやっていただければいいと思っています。

孤独だけれどひとりではない、みんなと一緒だけれど、馴れ合いではない

全員の暗唱が終わった後、拍手をしてお互いの頑張りをねぎらい、讃えあいました。暗唱を披露する、という、不安な感情が現れやすい場面では、心理的安全感が何よりも大事です。集まって確認しあうのは、監視が目的ではありません。

暗唱というどこまでも孤独な学習をしながら、定期的にお互いが顔を合わせ、努力を確認しあう、そしてお互いの進歩を喜び合う、そんな場にしていきたいと思っています。

列車は走りはじめた

第1回が終わりました。またすぐに第2回がやってきます。

わたしも皆さんも準備に追われることでしょう。お仕事や家のこと、忙しく暮らしている中で時間を捻出して教科書を頭に入れていく作業は大変なことです。

でも、一旦そういう流れに乗ってしまえば、それが当たり前になっていきます。普通の人が自分の能力を伸ばすには、負荷のかかる行動が当たり前になっている環境に身を置くのが一番です。

暗唱という、頭に負荷がかかる勉強も日常の中で当たり前にこなしていける、そんな筋肉を作っていくための半年間にしていくつもりです。

第2期は10月下旬〜11月上旬に募集

中国の国語教科書で学ぶ暗唱講座は、2023年1月に第2期を開催する見込みです。10月下旬〜11月上旬に募集を開始いたしますので、このブログやわたしのTwitterを見ておいていただければと思います。